今週のマーケットは、中東情勢に大きく揺さぶられた1週間でした。
S&P500は4月10日(金)の終値で6,816.89。この日だけ見ると前日比マイナス0.11%とほぼ横ばいでしたが、週間では約3.6%の上昇と、昨年11月以来の好パフォーマンスを記録しました。ダウ平均も週間で約3%上昇しています。
■ 何が起きたのか?──米イラン「2週間の停戦合意」
今週最大のニュースは、4月7日にトランプ大統領がイランとの2週間の停戦合意を発表したことです。
2月28日に米国・イスラエルがイランを攻撃して以降、約40日にわたって続いていた軍事衝突。原油の重要な輸送ルートであるホルムズ海峡が事実上封鎖され、原油価格は一時120ドルを超えるなど、世界経済に大きな影響を与えていました。
今回の停戦では、パキスタンの仲介のもと、イランがホルムズ海峡を再び開放する代わりに、米国・イスラエルが軍事作戦を一時停止するという内容で合意に至りました。これを受けて原油価格は一時91ドル台まで急落し、株式市場は大きく反発しました。
■ でも「完全に安心」はまだ早い
ただし、注意点があります。今回はあくまで「2週間の停戦」であり、恒久的な和平合意ではありません。
実際、停戦合意の翌日にはイスラエルがレバノンへの攻撃を続け、イラン側が「合意違反だ」と批判する場面もありました。週後半にかけて原油価格は95ドル前後まで再び上昇しており、市場には依然として警戒感が残っています。
また、4月11日(土)からパキスタンのイスラマバードで本格的な和平協議が始まる予定です。この交渉がうまくいくかどうかで、来週以降の相場は大きく変わる可能性があります。
※今後の交渉の行方は不透明であり、以下の見通しはあくまで筆者の推測です。
■ もう1つの注目点──米国のインフレはどうなっている?
4月10日に発表された3月の米CPI(消費者物価指数)も重要なデータでした。
「CPI」とは、日用品やサービスの値段がどれくらい上がっているかを示す指標です。これが高いと、物価が上がりすぎている=FRB(米国の中央銀行にあたる組織)が利下げしにくい、ということになります。
結果は、総合指数が前月比+0.9%と高い伸びを示しました。これはイラン情勢による原油高がガソリン代などに反映されたためです。一方で、エネルギーや食品を除いた「コア指数」は前月比+0.2%と落ち着いた水準でした。
つまり、原油高による一時的な物価上昇はあるものの、それ以外の物価は比較的安定している、という内容です。これは株式市場にとってはやや安心できる材料でした。
■ 為替は1ドル=159円前後
ドル円は159円台前半で週末を迎えました。週の前半には停戦合意を受けて一時157円台まで円高が進みましたが、その後は原油価格の反発などで再び円安方向に戻しています。
eMAXIS Slim S&P500やオルカンは「為替ヘッジなし」の商品です。簡単に言うと、円安になると基準価額(ファンドの値段)にはプラス、円高になるとマイナスに働きます。今の159円という水準は歴史的に見ればかなりの円安ですが、中東情勢次第で急に円高に振れる可能性もあります。短期の為替変動を気にしすぎないことが大切です。
■ 2026年のS&P500、年初来ではまだマイナス
ここで少し引いた目線で見てみましょう。
今週の反発は力強いものでしたが、S&P500は年初来ではまだ約1.5%のマイナス圏にあります。1月27日につけた過去最高値(約7,002)からは依然として約2.6%下の水準です。
3月下旬には最高値から約9%下落する場面もあり、「暴落だ」「もう売るべきだ」という声もSNSでは見られました。
しかし、歴史を振り返ると、S&P500は10%程度の調整(値下がり)をほぼ毎年のように経験しています。2018年、2020年、2022年、そして2025年にも二桁の下落がありましたが、いずれもその後回復しています。
■ 企業の稼ぐ力は健在
重要なのは、米国企業の業績見通しは依然として好調だということです。
これから本格化する2026年第1四半期の決算シーズンでは、S&P500企業全体で前年比17〜19%の増益が見込まれています。特にAI関連の投資拡大がテクノロジー企業の利益成長を牽引しており、業績の土台はしっかりしています。
UBSは中東情勢を受けて2026年末のS&P500予想を7,700から7,500にやや引き下げましたが、それでも現在の水準からは約10%の上昇余地があるという見方です。
※アナリスト予想は今後変更される可能性があります。これらの数値は投資成果を保証するものではありません。
■ 積立投資家がやるべきこと──「何もしない」が正解
ここからが一番伝えたいことです。
eMAXIS Slim S&P500やeMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)を毎月コツコツ積み立てている方。今やるべきことは「いつも通り積立を続ける」こと、ただそれだけです。
中東の紛争、原油高、インフレ懸念──不安材料を挙げればキリがありません。しかし、過去10年間でS&P500は配当込みで約277%のリターン(年率約14.2%)を生み出してきました。その間にも、コロナショック、インフレ急騰、ロシア・ウクライナ紛争など、多くの「怖い出来事」がありました。
そのたびに「今回こそ終わりだ」と言われましたが、結局のところ、長期で持ち続けた人が最も報われる結果になっています。
来週はパキスタンでの和平協議の行方が最大の焦点です。うまくいけば市場はさらに安心感を取り戻すでしょうし、決裂すれば再び大きく動く可能性があります。
でも、それはあくまで「短期の話」。私たちが見るべきは、5年後、10年後の世界です。
今日も明日も、いつも通りの積立を。それが長期投資家にとって最強の戦略です。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願いいたします。記事中のデータは2026年4月10日時点の情報に基づいています。

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